【研究レポート Vol.6】自宅訪問型産後ケアの満足度が第1子家庭よりも第2子家庭の方が高い理由は?

自宅訪問型産後ケアは、第2子に有効です

【要約】

産後ヘルパー株式会社の利用者アンケート1,284件を分析した結果、自宅訪問型産後ケアで「大満足」と答えた割合は全体の67%でした。第1子家庭の66%に対し、第2子家庭は81%、第3子以上は83%で、子どもの人数との間に統計的な関連が確認されました。上の子の日常を保ちながら自宅で支援を受けられる「生活の継続性」が、多子世帯にとって大きな価値となる可能性があります。ただし、因果関係を示す結果ではなく、一般化には注意が必要です。

自宅訪問型産後ケアは、第2子に有効です

1 この研究で分かったこと

最も明確な結果は、子どもの人数と「大満足」の割合に統計的な関連が認められたことです。

産後ヘルパー株式会社の利用者1,284件のアンケートでは、自宅訪問型産後ケアに「大満足」と回答した人が全体の67%でした。子どもの人数別に見ると、第1子の家庭は66%、第2子は81%、第3子以上は83%です。第2子以降の家庭では8割を超え、偶然のばらつきだけでは説明しにくい差が確認されました(カイ二乗検定、p<0.001)。

一方、多胎出産、母親の年齢層、世帯年収、夫のサポート度については、「大満足」の割合に一定の傾向は見られたものの、統計的な有意差は認められませんでした。

2 産後総研・研究レポート第6号の概要

本記事は、産後総研が、つぎ夢経営研究会のメンバーと積み重ねてきた研究レポートの第6本目「Vol.1 No.6(2026)」を、一般の方にも分かりやすく紹介するものです。

正式名称は「日本における自宅訪問型産後ケアの顧客属性と満足度に関する考察―属性別ニーズ分析から導く普及戦略の提案―」です。中里浩幸研究員、高久広主席研究員、明素延代表が執筆し、2026年7月7日に発行しました。利用者属性と満足度の関係を分析し、今後のサービス提供や普及に役立てることが目的です。

3 なぜ自宅訪問型産後ケアを調べたのか

産後ケアの認知は広がる一方、利用にはまだ壁があります。日本産婦人科医会の2026年調査では、認知度は88.5%でしたが、利用経験者は22.2%でした。利用しなかった理由では「上の子供がいるため」が44%と高く、先行研究でも、上の子の預け先や施設までの移動が阻害要因とされています。そこで本研究は自宅訪問型産後ケアに注目しました。

4 調査対象と分析方法

調査対象は、産後ヘルパー株式会社が2014~2025年に実施した利用者アンケート1,284件です。5段階の満足度を、最上位の「大満足」とそれ以外に分け、子どもの人数、単胎・多胎、母親の年齢層、世帯年収、夫のサポート度との関係を分析しました。カイ二乗検定またはフィッシャーの正確確率検定を用い、p値0.05未満を統計的な有意差ありとしています。

なお、図表に記載された各群の回答数合計は項目ごとに異なります。子どもの人数と単胎・多胎は各1,244件、年齢層は1,203件、世帯年収は990件、夫のサポート度は879件です。理由はレポートに説明されていませんが、属性項目の未回答などが含まれる可能性があります。

5 主な調査結果

1)第2子以降の家庭では「大満足」が8割を超えた

子どもの人数別では、第1子66%(群の回答982件)、第2子81%(226件)、第3子以上83%(36件)でした。この差には統計的な有意差がありました(p<0.001)。

自由記述には、新生児と上の子のケアを両立する難しさや、通園・通学、遊び相手への支援に対する感謝が多く見られました。自宅で家族全体を支えることの価値がうかがえます。

第2子がいるご家庭は自宅訪問型産後ケアが最適

2)多胎出産は90%だったが、人数が少なく確定できない

「大満足」は単胎出産69%(群の回答1,234件)、多胎出産90%(10件)でしたが、有意差はありませんでした(p=0.188)。多胎出産の回答は10件のため、結論には追加データが必要です。

3)年齢、年収、夫の支援では有意差がなかった

母親の年齢層別では、20代63%、30代69%、40代72%と、年齢が上がるにつれて「大満足」がわずかに増えましたが、有意差はありませんでした(p=0.262)。

世帯年収別でも、図表上は最も低い年収層の62%から最も高い層の77%まで上昇する傾向が見られましたが、有意差はありませんでした(p=0.129)。夫のサポート度別も65~70%で、有意差は認められませんでした(p=0.773)。

本研究の範囲では、年齢、年収、夫の協力度だけで「大満足」が大きく分かれるとは確認できず、幅広い家庭のニーズに応えている可能性があります。

6 自宅で守れる「生活の継続性」とは

「生活の継続性」とは、住み慣れた自宅で、上の子の通園・通学や家族の食事など、普段の暮らしを大きく崩さずに支援を受けられることです。研究者らは、第2子以降の結果と自由記述を踏まえ、家族の生活の中で支援できる点を自宅訪問型の特徴的な価値と考察しています。

ただし、本研究は自宅訪問型と宿泊型・デイサービス型を同じ条件で直接比較したものではありません。したがって、自宅訪問型が常に優れているという結論ではなく、家族構成や必要な支援に応じて選択肢を組み合わせる視点が重要です。

7 妊娠中・産後の家族にとっての意味

第2子以降を迎える家庭は、赤ちゃんだけでなく、上の子の通園・通学、食事、遊び相手を誰が支えるかも出産前に考えることが大切です。初産でも66%が「大満足」と答えており、初めての育児を学ぶことや休息の確保に利用できます。家族の支援と外部の支援は、どちらか一方ではなく、補い合うものです。

8 自治体・医療・助産関係者にとっての意味

自治体や医療・助産関係者には、宿泊型やデイサービス型に加え、自宅訪問型を補完的な選択肢として案内する意義があります。上の子の預け先、移動の難しさ、生活リズムを確認すると、家庭に合う支援へつなぎやすくなります。ただし、今回は民間事業者1社の利用者調査であり、自治体事業全体の効果を示すものではありません。

9 結果を見る際の注意点

この研究結果には、次の限界があります。

  • 対象は産後ヘルパー株式会社を実際に利用した人であり、日本のすべての産後家庭を代表する調査ではありません。
  • 「大満足」とそれ以外に分けた分析のため、「満足」と「不満」の違いなど、5段階評価の細かな情報は反映されません。
  • 属性別の回答数合計が異なります。特に多胎出産は10件、第3子以上は36件と少数です。
  • 調査期間が2014~2025年と長く、制度やサービス内容の変化が影響した可能性があります。
  • 自由記述の詳しい分類方法は示されておらず、その傾向は慎重な解釈が必要です。
  • 本研究で確認したのは属性と満足度の関連であり、健康状態の改善や医療的な効果、因果関係を証明したものではありません。

10 まとめ―産後ケアを家族の生活を守る選択肢へ

利用者1,284件の分析では、自宅訪問型産後ケアに「大満足」と答えた割合は67%で、第2子以降の家庭では8割を超えました。統計的に明確な関連が認められたのは子どもの人数であり、上の子の日常を保ちながら支援を受けられる「生活の継続性」が、自宅訪問型の特徴的な価値である可能性が示されました。

産後ケアは、母親だけの「ぜいたく」ではなく、家族の生活基盤を整える支援と捉えられます。不安がある場合は、自治体、医療機関、助産師、産後ケア事業者などへ早めに相談することが大切です。

産後ヘルパー株式会社では、産後の女性へのケア、赤ちゃんのお世話、食事づくりなどの家事、上の子のケアを含む自宅訪問型の支援を行っています。サービス内容や対応地域は、産後ヘルパー株式会社公式サイトで確認できます。

11 よくある質問

Q1.自宅訪問型産後ケアとは何ですか?

自宅訪問型産後ケアは、支援者が自宅を訪れ、産後の女性、赤ちゃん、家族の生活を支えるサービスです。家庭の日常を保ちながら支援を受けられる点に特徴があります。支援範囲は事業者や制度によって異なります。

Q2.第2子以降の出産では、自宅訪問型が向いていますか?

上の子の生活を保ちたい家庭には有力な選択肢です。「大満足」は第2子81%、第3子以上83%で、第1子の66%より高い結果でした。ただし、他の形態も含め、家庭の状況に合わせて選ぶことが大切です。

Q3.初産でも利用する意味はありますか?

初産にも利用価値があると考えられます。第1子家庭でも66%が「大満足」と回答しました。赤ちゃんのお世話、休息、家事など、必要な支援を事前に整理して相談するとよいでしょう。

Q4.夫や家族が協力的なら、産後ケアは不要ですか?

家族が協力的でも、産後ケアが不要とは限りません。夫のサポート度による有意差はなく、家族の日常的支援と、経験のある支援者による支援は併用できます。

Q5.この研究で自宅訪問型産後ケアの健康効果は証明されましたか?

健康状態の改善や治療効果は証明されていません。分析したのは利用者属性と満足度の関係です。心身の不調がある場合は、医師、助産師、保健師、医療機関などへ相談してください。


【参考資料・出典】

  • 中里浩幸・高久広・明素延(2026)「日本における自宅訪問型産後ケアの顧客属性と満足度に関する考察―属性別ニーズ分析から導く普及戦略の提案―」産後総合研究所『産後総研レポート』Vol.1 No.6、2026年7月7日。
  • 日本産婦人科医会(2026)「産後ケア事業の現状と課題」第203回記者懇談会。
  • 田中美帆・齋藤いずみ(2019)「産後ケア事業の利用を妨げる要因について―母親たちがより利用しやすい事業にするための課題―」『母性衛生』第60巻第1号、83-90頁。
  • 江文菁(2025)「産後ケアにおける医療福祉環境に関する研究(その1):台湾産後護理之家の制度と実態」『日本建築学会技術報告集』第31巻第77号、392-397頁。
  • Song, Ju-Eun(2025)“The Operational Status of Postpartum Care Centers and Application of Family-Centered Care in South Korea’s Era of Ultralow Birth Rates,” J Korean Matern Child Health, 29(3), 101-109.
  • 産後総合研究所

産後総合研究所 研究員補佐/中小企業診断士 中里 浩幸

電機メーカーでの設計・開発、事業企画などを経て、中小企業診断士として、製造業、人材派遣、IT、飲食など幅広い業種の経営支援に携わる。産後総研では、経営・データ分析の経験を活かし、顧客ニーズや利用実態の分析を通じて、産後ケアサービスの提供や普及のあり方について調査・研究に取り組んでいる。

産後総合研究所 研究員/中小企業診断士 中里 浩幸


●産後総合研究所 主席研究員、産後ヘルパー株式会社 取締役、中小企業診断士 高久 広

●産後総合研究所 主席研究員、産後ヘルパー株式会社 取締役、中小企業診断士 高久 広

中小企業診断士として3,000社以上の企業の経営支援に23年間従事。2014年、神奈川産業振興センターの創業支援施設で創業直後の産後ヘルパー株式会社の支援を開始し、5年にわたり成長を支援。2019年に取締役へ就任し、経営、マーケティング、Web、労務管理などを担当し、産後ケア業界に13年従事。産後総研では、経営分析や実務データの視点から産後ケアに関する調査・研究に取り組んでいる。


●産後総合研究所 主幹研究員、産後ヘルパー株式会社 代表取締役 明 素延

産後総合研究所 主幹研究員、産後ヘルパー株式会社 代表取締役 明 素延

慶應義塾大学大学院商学研究科で計量経済学・商学を学び、同大学産業研究所共同研究員、商学研究科助教を歴任。自身の出産・産後ケア経験を契機に、2013年から「少子化と経済―産後ケア」を研究テーマとし、韓国の産後管理士資格を取得。2014年に産後ヘルパー株式会社を設立し代表取締役に就任。産後女性の心身の回復と育児支援に取り組んでいる。産後総研では、経営分析や実務データの視点から産後ケアに関する調査・研究に取り組んでいる。


 研究・取材・自治体・医療関係者のお問い合わせ

 産後ケアをご検討中の方へ|産後ヘルパー株式会社

 産後ヘルパー株式会社のInstagram

産後ヘルパーの動画チャンネル

コメントは利用できません。

お問い合わせはこちら

お問い合わせ